障がい者支援の現場では「イレギュラー」だって、新しい発見の宝庫~避難訓練をとおして~

「じしんだー」

事業所内が一気に緊張します。利用者様は机の下にもぐり、スタッフは「落下物がないか」、避難経路の確保などあわただしく動き回ります。

あっ!!避難訓練の話です。

初めまして。「生活介護え笑み」スタッフの西です。
「暑かった夏が過ぎ去った」と思いきや11月に夏日を観測するなど夏の再来を予感させる日もありますが、朝晩は寒いくらいの季節になりましたね。典型的な暑がりとしては、風邪をひかないように気を付けるのが日課になっています。

「生活介護え笑み」は、東京都あきる野市にある障がいのある方々が通う通所施設です。利用される方のほとんどが「知的障がい」と「ASD(自閉スペクトラム症)」があり、自分を傷つける行動(自傷)や他の人を傷つける行動(他傷)、理解しずらい特異な行動などをみせる強度行動障がいのある方たちです。利用者様の多くは言葉でのコミュニケーションがとても難しい方々ですので、目で見てわかるコミュニケーション(視覚支援)を中心に支援しています。そんな、生活介護え笑みでの取り組みの一部をご紹介します。

 

生活介護え笑みでは、10月19日木曜日に避難訓練を実施しました。
避難訓練は、毎年春と秋の2回実施します。この日は秋の避難訓練でした。
想定は、「地震に続いて火災が発生。初期消火が間に合わず避難する」でした。

ほとんどの利用者様は何度も避難訓練を経験されているので、落ち着いたものです。
しかし、何人か通い始めたばかりの利用者様について、緊急の事態が発生した時の様子がつかめていなかったので、事前から準備を進めていきました。

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まずは、普段の様子から利用者様それぞれの想定される行動を考えていきました。

「避難訓練が始まったら、どんな動きをするかな?」
「どんな方法を使えば、やってほしい事が伝わるかな?」
「混乱するかも」
「意外とスムーズに行くかもね。」

など、時間があれば検討を重ねていきます。当日の朝までスタッフ間の検討が続きました。そして、なにより大切な利用者様に伝える方法を考え、「絵」を使ったコミュニケーションツールを準備して当日にのぞみました。

 

「じしんだー!!」

皆さん一斉に机の下に隠れていきます。
うまく入っている方、お尻から入られる方と様々ですか、皆さんしっかり机の下に入る事が出来ました。
心配していた利用者様はと言うと・・・

皆さんちゃんと机の下に隠れています。思わず「おみごと」と言いたくなる気持ちを抑えながら避難訓練は続きます。
次は消火が間に合わず火事になったので避難します。準備したコミュニケーションツールを見てもらうと、スムーズに避難する事ができました。

 

終わってみてすこし考えてみます。

え笑みでの避難訓練が初めての利用者様も、特別支援学校やそれまで通所していた福祉事業所で避難訓練は経験されていたでしょう。「地震が来たら、机の下に入りましょう」「火事になったら、外に逃げましょう」は、繰り返し教えられてきています。

 

経験を頼りに行動されることの多いASDの方々ですから、「じしんだ」の言葉を聞いて行動に移せた可能性はあります。しかし、はなし言葉の理解に限界のあるのも事実ですので、「かじだ」と叫んでいたらどうだったでしょう?今後に向けての課題かもしれません。

 

もう一つ、「絵のコミュニケーションツール」はどうだったでしょう?

皆さん、普段から絵(写真や具体的な物など)によるコミュニケーションに取組んでいます。目で見て理解するのが得意なASDの方々です。避難訓練と言うイレギュラーな場面でしたが、普段から使い慣れている絵で「今何が起こっていて」「何をしなければいけないか」を伝えたことで不安にならず行動できた可能性はあります。

イレギュラーな活動を通して、利用者様のいつもとは違う一面を見ることができた「避難訓練」でした。

 

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