誘惑に負けるな!自分に勝つための環境づくり!
夏の暑さが少しずつ落ち着いてきたと感じる今日この頃。
私は最近、新たに国家資格取得を目指し、仕事以外の時間で勉強タイムを設けて日々取り組むよう心掛けています。
だが、しかし・・・、
家に帰ると、どうしてもオフモードが発動してしまい勉強になかなか専念できない。
ソファーがあると寝ころびたくなるし、気付いたらテレビを見てしまっていたり、冷蔵庫にあるビールが飲みたくなってしまったり・・・。(はぁ~、飲みてぇ~!)
家には誘惑がとにかく多い!
支援の中でも私と同じように誘惑に引っ張られてしまう方が多くいます。
「一緒だなぁ。わかるわかる~」と共感したくなります。
今回はそんな誘惑を断ち、自分に勝てたご利用者、A様を紹介します!
A様はどんな方(・・?
生活介護 笑(えみ)では、重度知的障害で自閉症の方が多く利用されています。
今回ご紹介するA様も自閉症の方で、強度行動障害もあります。
目で見て理解する”チカラ”が優れており、今やるべきことを絵や写真を見て、すぐに理解できます。
作業能力も高く、難しい課題も完成図の写真を見るだけで取り組むことができます。
ですが、ほかの席の人のことが気になって立ち歩いてしまったり、やることがない時間には飛び跳ねてほかの人とぶつかりそうになることがあります。
自分が思っていることと違うことが起きたり、納得がいかないと、感情のコントロールができず、大声をあげ頭を打ち付けたり、ご自分で自分の顔を強く叩くなどの、自傷行為をしてしまいます。
作業がなかなか進まない・・・。
そんなA様は25分間で8つの自立課題に取り組んでいるのですが、なかなか時間内に課題をオワらせることができません。
「なんでだぁー?」
簡単な課題内容に変えても、25分でオワらせることができない・・・。
「おかしいなぁー」
ということで、A様の課題に取り組む姿をじっくり観察してみることにします。
「あれ?作業早いなぁ。このペースなら20分もあれば終わると思うんだけどなぁ・・・」
と、1つ目の課題が終わった次の瞬間!!
「あれ?次の課題を全然とらないなぁ。入口ずっと見てるなぁ。早くしないと25分経っちゃうよぉ」
「ん? 課題を自分の机に置くまではいいけど、課題を始めないなぁ。周りが気になるのかな?」
と心の中で思ったあと、ハッ!!と気付きました。
A様は課題を取りに行く場面で誘惑に引っ張られてるんだ!!
引っ張られるのは入り口だけではありません!
棚のネジが気になってしまったり別の利用者様の課題をのぞき見したりと、
いろんなモノに気を取られる姿が見られました。
なるほど!課題を取りに行くあいだで時間がかかっていたのね!
そんな、A様のこれまでの座席がこちらです。
ご自分の席から約2m離れた位置に専用の課題棚がおいてあります。
そのため、次の自立課題を取るときに、1度席から離れる必要があります。
それにより、A様は気になるもの(誘惑)に引っ張られてしまい、課題がスムーズに進められなくなってしまっていました。
さらに、隣の席の利用者様の行動がすぐに見れる環境にあったため、作業するべきものが目の前にあっても、キョロキョロすることが多々ありました。
新しい環境
A様の様子を整理します。
・課題自体はスムーズに取り組める
・次の課題を取りに行くときに時間がかかる
・課題を机に置いたあと、すぐに座らず周りを見渡す
これらの様子に配慮した、新しい席づくりを行うことにします!
そこで、今回は目に入る情報を減らし、やるべきものに集中できる環境に配慮して、座席を作り直しました。
じゃじゃん!
自習室のようになりましたが(;^ω^)
今までと違う点は、
・周りが見渡せない環境にモデルチェンジ(誘惑に引っ張られないように)
・専用の課題棚はご自身の席のすぐ横に設置。(移動するときに誘惑が多いから)
・ご自身の席にスケジュールを貼らないことにする。(情報の1つになるため)
・その代わりに専用のスケジュールコーナーを設置。(トランジションエリア)
室内環境を整え、普段通り自立課題に取り組んでもらいます!!
ドキドキ・・・!!
新しい部屋を受け入れる
あらかじめ前日に席替えをすることはご本人に伝えました。
そのため、当日はスムーズに新しい席へ移動する
ことができました。
これまでと違うご自分の席の環境に、あまり戸惑いが見られなかったのが印象的でした。
“これまでと違う”ということに対する混乱や不安は、障害の有無関係なくあるものではないでしょうか?
しかし、突然変更されるよりも事前に分かれば、なんとなく見通しが立ちますよね!
事前学習の大切さについては、こちらの記事でも紹介していますので、よろしければご覧ください。
自立課題の取り組み
新しい席での自立課題はこれまでと同じ内容で取り組んでもらい、再度アセスメントをとりました。
25分以内に間に合わなかった自立課題でしたが、環境面に配慮した結果・・・
な・・・なんと!!
8課題 19分49秒!!
このように差が開きました。5分も余裕あるではありませんか!!
引っ張られてしまう時間が、短縮されたことで、作業の効率も上がり課題の難易度を少し上げても時間内に終わらせることができるようになりました!
~休憩中のやりとり~
伊能:作業上手だね!素晴らしい!
A様:はぃ!
(まったりタイム中のやり取り♪)
余暇時間は皆さま過ごし方それぞれです。
まったりできる時間も大事ですよね♪
一人ひとりの長所(強み)
今回この取り組みで、最も大切にしてきたことは、
「ご利用者様にとって、集中しやすい環境がどういう環境なのか?」を
支援者側の目線ではなく、利用者様の行動や様子を観察したうえで環境設定したことです。
課題が間に合わないから、作業が苦手というわけでは決してありません。
やるべき作業は終わるまで集中できる強みを持っています。周りが気にならないよう環境に配慮した結果、ご自分の持っている力を発揮できたのです。
生活介護笑(えみ)では、今後も利用者様の「個々の長所」を伸ばし、社会生活の幅をより拡げられるよう支援に務めてまいりたいと思います。
さぁ私も今一度、自分の部屋を見直し、集中しやすい環境にして勉強することにしよう♪