★人はなぜ行動するのか
こんにちは!生活介護笑の福本です。
元号が”令和”になって初めてのブログですね★
突然ですがタイトルにもあるように、
私たち人は、なぜ行動するのだと思いますか?
実はこれ、笑のとある研修で問われた質問なのです。
「え?なぜ行動するか…(‘Д’)?」
考えたこともなかったため、頭には「???」が浮かびました。
その、とある研修とは「ABC分析」と呼ばれる手法についてでした。
ABC分析とは
「ABC分析」とは、利用者様の問題行動について適切な対応方法を導き出すために行うものです。
A:先行刺激【Antecedent】(行動を引き出すキッカケ)
B:行動【Behavior】(行動)
C:後続刺激【Consequence】(行動した結果)
人は行動の直後に起こる出来事によって、
それ以降の行動が決定的に左右されるそうなのです。
行動の後に良い事があればその行動は増えますが
行動の後に良い事が獲得できなかったり、不快な出来事があったりすると
その行動は減っていきます。
また、行動の前に先行刺激と呼ばれるものが必ずあり
行動を起こすキッカケのことを指すそうです。
ちょっとイマイチわかりにくいですよね~
では具体例を挙げた説明をどうぞ★
~とにかくコップを片づけたいS様~
笑に通う自閉症のS様は、とにかくコップをキッチンに片づけたくてしょうがないです。
なぜキッチンに片づけたいかというと、
コップはいつもキッチンから出てきて、最終的にはキッチンに戻っていくからです。
それを知っているS様は、「コップはキッチンにあるべきもの」という思いが強いのです。
ただ、お茶を飲み終えたコップは、一旦テーブルの上に片づけることが決まっています。
でもS様は自分のお茶も、他の人が飲もうとしているお茶も関係なく
中身を飲み干し、キッチンに片づけようとしてしまいます。
そのことを頭に入れていただいた上で
これから3パターンでABC分析を紹介していきます。
まず1つ目。「強化」のパターン
A:S様が、他利用者様のお茶を取って飲み干しました。
B:コップを片付けて欲しくて、職員に渡しました。
C:職員がコップをキッチンに片付けてくれました。
S様は自分の希望通り、コップをキッチンへ片づけてもらうことができました。
すると、S様は「コップを職員に渡せば、片付けてもらえる!」と学習し、
今後は職員にコップを渡す行動が増えていきます。
これを強化といいます。
では2つ目、「消去」のパターン
A:S様が、他利用者様のお茶を取って飲み干しました。
B:コップを片付けて欲しくて職員に渡しました。
C:職員は受け取らず、テーブルに置いていただくようジェスチャーで示しました。
S様はコップをキッチンに片づけてもらえませんでした。
するとS様は「コップを渡しても片づけてもらえない…」と学習します。
コップを職員に渡す行動が減っていきます。
これを消去といいます。
この2つ目のパターンを読んで、
「受け取ってあげないなんて意地悪だ」と思う方もいるかもしれません。
でも、テーブルの上が正しい置き場の為、S様はそこにコップを片づけられる方がいいのです。
例えば外出先のレストランで、下膳台があるのに厨房まで片付けに行ってしまうのは、不適切ですよね?
では3つ目、「罰」のパターン
A:S様が、他利用者様のお茶を取って飲み干しました。
B:コップを片付けて欲しくて、職員に渡しました。
C:「自分でテーブルに置きなさい!」と職員が大声で怒鳴るように言った。
(このような対応は笑では絶対に有り得ませんが)
S様は怒鳴られ不快な気持ちになったことで、一時的にコップを職員に渡す行動が減ります。
これを罰といいます。
ただし、何について怒られているのか、意味が理解が難しいため、また同じ行動を繰り返してしまいます。
ですからこれは適切な支援とは言えないかもしれませんね。
さいごに
今回紹介した3パターンの事例で、先行刺激となるものは1つだけ書きましたが、
その時の周囲の状況や時間帯、場所、職員の声掛け等も関係している可能性もあるので
実際はもう少し細かく沢山の先行刺激があることもあります。
また、S様の”人のお茶を飲んでしまう”ことも不適切な行動ですよね。
もちろんその部分も支援が必要な点です。
今回のブログを読んで少しでもABC分析がどんなものか、お伝えできていたらうれしいです。
私たちはこのABC分析を知ってからは
自分たちの対応で、利用者様がどう変化するかを常に考えるようになりました。
今後も笑では、利用者様の行動を細かく観察・分析し支援をしていきます♪