同じ言葉なのに、意味が違った?― 自閉症・知的障がい者支援ですれ違いから見えたコミュニケーションのヒント ―

こんにちは。
東京都あきる野市にあります生活介護笑で主任をしている紙谷です。
ゴールデンウィークも近づいてきましたが、みなさんはどこかにお出かけしたりするのでしょうか?
それにしてもすでに暑いですよね💦
今回は利用者様の発語・ジェスチャーを分析して、かかわり方を整理してみた。
という話をしてみたいと思います。
『らいおんのおにく、がお~。』って何だろう?
今回ご紹介するのは、20代の男性利用者様(仮名:Aさん)との関わりです。
自閉症や重度の知的障害がある方の中には、発語やジェスチャーができていても、
その言葉の意味や使い方が一般的なやりとりとは異なる場合があります。
そのため、一見「会話ができているように見える」場合でも、
実際には意思のすれ違いや不安が積み重なっていることも少なくありません。
Aさんは発語やジェスチャーを使って、自分の気持ちや要求を表現される方です。
『発語とジェスチャーができれば、十分コミュニケーションが取れるのでは?』と思う方もいらっしゃるかと思います。
ですが、こちらの予想や想像とは異なる意味合いで言葉を使っていることも少なくありません。
また、ジャスチャーのみが儀式的な動きとして定着してしまったり、
時には他の人も真似してくれないと気が済まないという状態になってしまう方もいらっしゃいます。
例えば、「ライオンのお肉、がおー。」という発語とジェスチャー。
最初はその意味を掴みきれませんでしたが、ひとまず復唱して相手の求めるジェスチャーをすると会話が終わるので、
そのように対応していました。
同時に、反応を求めてくるジェスチャーの種類が増えていくことへの懸念も議論になっているところでした。
そんな中で同じ表現でも場面によってニュアンスが違うように感じることがありました。
この“少しの違和感”が、私たちの関わりを見直すきっかけになったんです。

そもそも何を伝えようとしているのだろう?
私たちは、Aさんの発語やジェスチャーのいくつかを丁寧に観察し、
「どんな場面で、どんな意味を持つのか」を整理することにしました。
コミュニケーションサンプルをもとに分析を重ね、職員間で共有していきました。
また、それぞれの発信に対して職員がどのように反応するかも見直し、支援の方向性を統一していきました。
すると、少しずつAさんの様子に変化が見られるようになったのです。
これまで不穏になることがあった場面でも落ち着いて過ごせることが増え、自傷行為の頻度も減っていきました。
日々の関わりの中で、Aさんが安心して過ごせる時間が確実に増えていったのを感じました。

安易に反応すると混乱することもある?
特に印象的だったのは、「反応がないこと」をAさん自身が受け入れられるようになったことです。
これまでであれば強く反応を求めていた場面でも、大きく感情が揺れることは少なくなりました。
いわゆる“消去バースト”も強く出ることはなく、特定の職員を追いかける反応をもとめる様子も数日で落ち着いていきました。
この変化の背景には、「意味合い」「行動の機能」を職員全体で共有し、一貫した関わりができたことがあると感じています。
関わる人によって対応が変わらないことで、Aさん自身の混乱や期待感が減り、安心につながったのではないでしょうか。
そしてこれは、Aさんの変化だけでなく、私たち職員にとっても大きな学びとなりました。
「伝わらない」のではなく、「まだ理解しきれていないだけかもしれない」。
そんな視点を持つことの大切さに気づかされました。


安定したコミュニケーションに向けて。
発語やジェスチャー、その時の場面ひとつひとつを丁寧に見つめ、意味を探っていくこと。
その積み重ねが、利用者様との“齟齬の少ない、安定したコミュニケーション”につながっていくのだと、今回の関わりを通して実感しました。
うまくいかないと感じる時こそ、立ち止まって見つめ直すこと。
その先には、必ず新しい気づきがあります。
そしてその気づきは、利用者様の安心や笑顔へとつながっていきます。
この仕事の魅力は、そうした「小さな理解」が「大きな変化」になる瞬間に立ち会えることなのかもしれません。

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私たちの施設では、一人ひとりの「伝えたい」を大切にしながら、日々の支援に取り組んでいます。
実際の雰囲気や関わりを、ぜひ見学を通して感じてみてください。
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