望ましい行動を育てるために:いわゆる計画的無視の実践

東京都あきる野市にある生活介護『笑』の紙谷です。

今年もあとわずかとなりました。
『去年の今頃悩んでいたことがあったなぁ。あれから一年経つのか。』
とか思ったりしています。
ちなみにこの悩み事は解決しました。

さて、今回はいわゆる『計画的無視』についての話をしようかと思います。
重度知的障害・自閉症の方を支援していく中で恐らく避けては通れない物のひとつです。


「意図的に反応しないようにしましょう」

実際の現場でこれに近い指示を出したりするわけですが。
率直に皆さまはどのように感じますでしょうか?

もちろん理由があってこのような対応をするわけですが、違和感を覚える方も多いかと思います。
ではなぜこのようなことをするのか?

〇ABC分析というものがありましてね

心理学におけるABC分析は、人間の行動を理解し変容させるためのフレームワークで、
A (Antecedent: 先行事象)、B (Behavior: 行動)、C (Consequence: 結果) の3要素で構成され、
行動のきっかけ(A)と結果(C)から、なぜその行動(B)が起こるのかを分析し、
望ましい行動を増やしたり望まない行動を減らす(行動変容)ことを目的とします。
これは**応用行動分析(ABA)**の基本的な考え方であり、
特に発達障害児の支援や子育て、ビジネスなど幅広い分野で活用されます。
↑というAIの回答をお借りします。

人間、褒められたりすると次もその行動を取ろうとしたりするわけですが、その逆もあるという話です。
生活介護笑にはいわゆる異食行為をしてしまう利用者様がいます。
掲示物を貼る時に使うガムテープなどを剥がして口に入れてしまうわけですが、
不衛生なのでやめてほしいところです。

〇それで分析をすすめるわけですけど、

望ましい行動でもそうでない行動でもいいのですが、それらの行動を増やす、あるいは減らすにはある程度作戦をたてて関わることが必要になってきます。
今回は特定の行動を減らしたいのですが、以下のような分析をしていきます。

C:結果が本人にとって望ましいものであると、
いわゆる味をしめて繰り返しその行動(B:行動)をとり続けるという図式になっています。
関わりのポイントとなるのは、B:行動が見られた時の職員の反応です。
図中の職員のとりうる反応、上に行くほど本人が求めていたものと仮定して三角形で表現してみました。
職員の反応が変われば、本人の体験(C:結果)も変わるかもしれません。

〇調整するのはAかCか?(どのように支援につなげるか。)

上の図では、行動が出てきた際の職員の反応をかえて様子を見るという方法をとっています。
一方でそもそも問題となる行動を起きにくくする方法も有効かもしれません。
Aを調整すればそもそもBの行動がなくなる。ということも考えられます。

事業所としては、できそうなもので効果が得られそうなものから試してみることにします。

ということを狙って職員にかかわり方を周知して様子を見ることにしてみました。
『あっ、ガムテープ食べなくても自立課題に取り組んでいれば職員が関わってくれるのか!!』
と思ってくれればこちらの期待通りです。

といった具合に、
『望ましい行動を増やして、不適切な行動を減らす。』
そんなことを意識して支援にあたっていたりします。

これを『計画的無視』と言う、というお話でございました。
時にはとりあわないことが最も効果的、みたいなことがあります。

この業界(に限らずかもしれませんが)、
『お試し行動』や『注目行動』とか言ったりしますが、要するに利用者様に試されることがあります。
それらはたいてい、こちらから見ると困った行動です。

言葉として無視とは言っていますが、『視界に入れた状態で反応はしない。』というイメージです。
前提として、いわゆる問題行動でも本人としてはなんらかの主張がある。ということを忘れてはいけません。

私はこのお仕事に従事して6年が経過しましたが、難しいことばかりですね💦

ということで、

上記の出来事を含めて今年も色々なことがありました。
それでもなんとか無事?に一年を過ごすことができました。
自分も成長できた部分があると信じたいところです。

それではみなさま、よいお年をお迎えください。

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