『生活介護笑 サービス向上のための5つの約束』の実現に向けて

皆様こんにちは。東京都あきる野市にあります、生活介護笑のサービス管理責任者の田中です。

色鮮やかな紫陽花が咲く姿に梅雨の訪れを…、という感慨はどこへやら、「ああ、また暑い夏が近づいてきた」と戦々恐々な今日この頃。

経口補水液やスポーツドリンクが欠かせない時節となっていますが、実は6月は社会福祉法人SHIPにとってもHOTな期間。

そう、虐待防止研修月間なのです!

今回は、生活介護笑で行っている虐待防止や利用者様の権利を守るための取り組みについてご紹介します。

全ての職員が虐待防止研修を受講しています

社会福祉法人SHIPでは、毎年6月と12月の2回、虐待防止研修を実施しています。

虐待防止研修については、2022(令和4)年度からは努力義務ではなく実施が義務化されていますが、SHIPではスタッフのさらなる成長につながるテーマが、多角的な視点から設定されています。

今回の研修では、生活介護笑の全ての職員が「バウンダリー」(心の境界線)について学びました。

今回の研修を受けるまで「バウンダリー」という言葉になじみがなかったので、改めて自分なりに調べてみたところ、心理学では【自分と他者を区別する境界線】のことを意味するとのことで、こういう新たな学びが得られるのもSHIPの研修の良いところだな、と感じています。

さて、この【自分と他者を区別する境界線】があいまいになり、スタッフのどちらかに負担がかかってしまったり結果として依存関係が生まれてしまうなどすると、それに対する怒りや不満が利用者様に向かってしまうという負の連鎖が起きてしまいます。

研修では、バウンダリーを侵害されたときのセルフケアの方法や自分の状態を確認するスケール(尺度)について理解し、落ち着いた状態に戻るための対処法や自分を守りながら相手も尊重する気持ちの良い伝え方などの実践的な内容について、グループワークを通じて学びました。

その中で、私自身が『自分が我慢すれば済む』と意見を飲み込んでしまったときや、ちょっとした意見の違いについ怒りを感じた場面などを振り返りながら、改めて【日頃からバウンダリーを意識する習慣】が大切だと気付きました。

利用者様との心の境界線が大切!

また、自分と他者との心の境界線(バウンダリー)について学ぶ中で、スタッフ同士の境界線だけではなく、利用者様とスタッフの境界線を保つことの難しさについても実感しました。

特に、生活介護笑のような日中活動を支援する事業所で注意しなければらないのは、利用者様との距離が近くなりすぎることです。

毎日同じ利用者様と同じスタッフが一緒に過ごすうちに親近感が強くなり、つい家族や友だちと同じように接してしまいがちです。

利用者様に対してわが子のように呼び掛けてしまう、言葉遣いがやけに砕けたものになる、利用者様の前でついご本人を対象とした軽口を言ってしまう等、心の境界線があいまいになってしまう事態に陥ることがないよう、私たちは常にセルフチェックしていく必要があります。

生活介護笑では、今年の1月に事業所独自に『生活介護笑 サービス向上のための5つの約束』を定め、1か月に1つの約束を重点目標として掲げながら、さらなるサービスの向上に努めてきました。

今回は、その5つの約束についてご紹介したいと思います。

 

 

約束① 利用者様のことは、必ず「名字+さん」でお呼びします。 

毎日の関わりを通じて、少しずつ利用者様への親近感が湧き思い入れが深くなっていくと、『相手のためにしているのだから、多少のことなら大丈夫』とか『自分との関係性の中でなら許される』といった油断や過信を生んでしまいがちです。

そうした気の緩みはまず、利用者様への呼称(呼び捨てやニックネーム、下の名前だけで呼ぶ)から表れると思い、最初の約束としました。

『親近感からつい…』という言い訳は一切なし、利用者様のことをお呼びする際には必ず「名字+さん」と統一しています。

約束② 利用者様には、常に丁寧な言葉遣いで対応します。

利用者様は、様々なサービスの選択肢の中から生活介護笑の利用を選び、契約を通じて結ばれている大切なお客様ですので、お世話する側とされる側、といった上下関係で捉えてはいけません。

また、重度の知的障害があり、言語でのコミュニケーションに頼ることが難しい利用者様に対しては、命令口調はもちろんのこと、最近の若者言葉などなじみのない口調や長い言葉掛けなどは、意味が分かりづらいためかえって不安やストレスを与えかねません。

私たちも、入ったお店でスタッフさんから知らない外国語でずっと話しかけられたり、大きな声や威圧的な雰囲気を出しながら接して来られたら辛いですよね。

利用者様に話しかける際は、簡潔で分かりやすく、丁寧な口調を基本とすることすることを2つめの約束としています。

約束③ みだりに利用者様のことを話題にしません。

私たちは職務の性質上、利用者様の極めて私的な事柄を知りうる立場にいます。

人は誰でも私生活上の情報を無断で公表されない権利を持っています。

支援上必要だからと言って、安易に口外すると利用者様の名誉や尊厳(個人として尊重されること、一人ひとりの生き方を大切にして幸せを求めていく『価値のある存在』と認めること)を傷つけることになりかねません。

そこで、排せつの状況やグループホーム等での様子、通院の結果や病状、個別の予定(面会や帰宅)などの私的な情報が、むやみに他者の耳に入って広まることのないように配慮することを3つめの約束としました。

約束④ 利用者様が安心できる環境をつくります。

生活介護笑には、脳機能の発達のアンバランスによる聴覚過敏(音の刺激が苦手)の利用者様が多くいらっしゃいます。

スタッフにとっては不快ではない程度の音声でもストレスになりますし、誰に向けられたものか分からず困ってしまうことも起きがちです。

目の前の事柄に集中しやすいように、また、自分に向けられた情報を的確にキャッチできるように、静かで刺激の少ない環境をつくることは大切な合理的配慮だと考えて、4つめの約束としました。

これについては、笑は事業所全体の面積が狭いため、静かな環境を作るのはなかなか難しいのが現状ですが、どうすれば今よりも静かで刺激の少ない環境が作れるか、一人ひとりがこれまで以上に考えるきっかけとなったと思います。

約束⑤ 全職員が主体的にこれらの約束の実現に取り組みます。

最後の約束は、これまでの約束を果たす上での心構えを掲げました。

上から言われたので仕方なくそうするのではなく、生活介護笑で従事するスタッフみんなが、自らこれらの約束を守りたい、互いに守り合っていこうと積極的に取り組むようになってほしいという願いと期待を込めて、5つめの約束としました。

一人ひとりが支援者として【利用者様の利益】を最優先に考え、立場や年齢、キャリア等の違いを越えて建設的に言うべきことを言い合えるようになる。

そのためには、相手の意見や立場を決して否定せずに聞き、相手を尊重しつつも必要なことは穏やかに伝えられる、アサーティブな関係性を事業所内に浸透させていくことが大切だと考えています。

 

★読み合わせを通じて、意識を高める取り組みも続けています。

 

約束の実現に向けて

1か月の取り組みが済んだ時点で全てのスタッフを対象にしたアンケートによってセルフチェックとピアチェックを行い、集計結果をフィードバックしてきました。

「自分では日頃から気を付けているつもりだったけど、つい気が緩んでしまうときがあったな」とか、「他のスタッフの言動や態度にはあまり意識を向けてこなかったけど、改めて周囲を見てみると意識のバラつきがあるかも」など、それぞれが自他の支援や業務態度を振り返ってくれるようになったのは、事業所としての確かな成長だと感じています。

その一方で、「決して特別なことを掲げているつもりはないけれども、スタッフみんなが高い意識を保って従事し続けることって、思っていた以上に大変なことなんだな」と、半年間の取り組みを通じて学びました。

決してお題目で終わらせることなく、自信を持ってこれらの約束を果たしていると言い切れるよう、これからもスタッフ一丸となって取り組んでいきますので、お越しの際にはぜひその目でお確かめください。

 

生活介護笑(えみ)では、サービス内容に興味を持って下さった方やお仕事として関心がある方、ボランティアを希望される方等々からのご連絡をいつでも歓迎しています!
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ぜひ一度ご連絡下さい!!

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